もうすぐ6月4日がやってくる。20年前の天安門事件の日である。忘れられない。
私は、その春、共産党の職員になったばかりだった。国会議員の秘書である。
ちょうど、東京都議会選挙がたたかわれていて、私は、八王子の選挙区に派遣されていた。清水秀子さんが初挑戦する選挙だ。
事件の衝撃は、ちょっと言葉では言い表せない。選挙に即して言うと、その頃まで、共産党は上り調子だったが、一夜にして雰囲気ががらりと変わった。なにしろ、「共産党の宣伝カーを見たら天安門の戦車だと思え!」の大宣伝である。
結果は惨敗。清水さんも及ばず。その後、清水さんはずっと当選をつづけているから、事件の影響がどれだけ大きかったかわかるだろう。
ただ私は、この事件を、そういう悔しさという角度から記憶しているのではない。逆である。残っているのは、誇らしさの記憶である。
私自身、共産党八王子地区委員会の人たちといっしょに、どうやって事態を打開するのか、日夜、議論をしていた。平和的な学生の集会に対し、軍隊が突如として襲いかかり、流血の弾圧をするなんて、絶対に許されない。それは、社会主義とはまったく相容れない。中国のそういう人権弾圧路線と一貫してたたかってきた歴史を持つのが日本共産党だ。
地区委員会の誰もが、そういう議論をつうじて、日本共産党の一員であることに誇りをもった。共産党批判の渦の中で、有権者と対話することは簡単なことではなかったが、確信を持って外に打って出たのである。チラシを配り、宣伝カーで演説し、有権者に電話をかけまくった。
中央委員会からも、適切な方針が出されたと思う。ある日、地区委員会に到着したチラシでは、正確には覚えていないが、当時の宮本議長が、「天安門での弾圧に抗議される方は、こぞって日本共産党に投票しよう」とのべていた。「こういう書き方をするのか」とびっくりしたものである。
国際的には、そういう人権弾圧をやる中国に対し、経済制裁をすることが焦点になった。アメリカやヨーロッパ諸国は、そういう方向に動いたが、日本は、中国との経済的つながりを重視し、制裁に慎重な対応をしていた。日本共産党は、経済制裁に弱腰な日本政府を、きびしく批判した。
まったくぶれないその態度に、はげしく感激した。ああ、宮本議長というのは、現場で苦労している共産党員が誇りをもって活動できるようにすることに、とても心を砕いているのだと感じた。そういう一連の対応を見ながら、私は、日本共産党の一員であって良かったと、心から感じたのである。(続)
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